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2011.09.23(Fri):鴆若
鴆若。
若の誕生日前日より。
妖怪の成人年齢ということで、初夜の話。R18(になる予定…多分←)
閲覧は自己責任でお願いします。

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9月も下旬に差し掛かり、縁側に吹き込む風も秋の気配を感じさせるようになった。
学校からの帰宅後、着替えを済ませ、リクオは早々に宿題に取り掛かる。
明日は彼自身の誕生日であり、三代目襲名の儀があるため、とても宿題を熟せる余裕はないと分かっていたからだ。

人間のそれとは違い、寿命の長い妖怪にとって誕生日というものは、実はあまり重視されない。
だが、リクオの祖母である珱姫が嫁いできてからというもの、元来お祭り騒ぎが好きなこの一家の者は盛大に祝うようになった。
増して、奴良組三代目総大将となる彼の、13歳の誕生日となれば尚更だ。

「ふう…」
すべての宿題を終えてノートを再びスクールバッグに収めた頃には、陽はとうに傾いていて自分の中の血がざわめくのを感じた。
「もうそんな時間か…」

障子を開け、空を見上げていると不意に強い衝動に駆られた。
止められないそれに、リクオは突き動かされる。
勢い、蛇を呼び寄せ、その心の赴くままに空を奔らせた。


薬鴆堂に着く頃には、すでに辺りは闇に包まれ、リクオの姿はすでに転じていた。
勝手知ったるその屋敷に上がり込み、彼の自室まで誰にも気づかれず入ることなど造作もないことだ。
文机で書物を読み耽る鴆の背に、リクオは前触れもなく寄りかかった。

「忙しいんじゃねえのか?明日の準備があるだろ?」
リクオの突然の訪問にもその言動による悪戯にもすっかり慣れきっている鴆である。然したる驚きも見せず、笑ったようだった。
「俺自身がやることなんざ、口上の準備と着替えくらいなんだよ」
家の者は忙しさで手が回らないようだが、実際のところの主役であるリクオには慌ただし過ぎて所在がなくなったのも抜け出してきた一因かもしれない。

「何しに…」
「野暮なこと訊くんじゃねえよ」

────お前に会いに来たんだろう。
言外に含め、笑う。
その表情は常に見ないものであっただろう。

ボーン。
低い時鐘が鳴り響き、古い掛時計は日付が変わったことを知らせた。
この掛時計はリクオが頻繁に来るようになってから、本家より送られたものだ。

「誕生日…だな。一番に祝えて嬉しいぜ」
「ああ…」
「どうした?心ここに在らずじゃねえか」
「13歳ってのは妖怪でいう大人なんだろ?だったら…」

ずい、と鴆にしな垂れかかると、そのまま触れるだけの口づけを落とした。

「なぁ、そろそろくれよ。お前を、身も心も」

鴆は目を見開いた。
それから口端を引き上げ、自嘲するように笑う。
「俺はずっとお前のもんだろうよ…」
「言い方を変えてやろうか?俺をくれてやるって言ってんだよ」

────だから、すべてを喰らえよ。

まだ子供だからと、体に触れることはあれ、鴆は決して最後まで与えることも与えられることもなかった。
それがどうしようもない心地にさせる。
生まれた時を変えることなど出来ない。そんなことで得られないなど、理不尽に思えて仕方なかった。



その誘惑は何とも抗いがたく、鴆は思わず息を呑んだ。
何とか理性を留めるように、寄りかかるリクオを静かに押し返す。
そのことに相手は眉を吊り上げたようだった。

「けどお前…今夜には襲名が…」
「鴆は医者だろ?何とかしろよ」
「無茶なこと言うんじゃねえよ…」

鴆自身が思い続けていた相手の上、そのリクオにとっては初めてのことだ。
否応にも負担が大きく、尚更鴆も余裕が保てる自信がない。
何とか大事の前だけは避けようと試みるが。

「せめて別の日にしたほうがいいんじゃねえか?」
「今日じゃなきゃ意味がねえんだよ」

決して強い語気ではないが、その瞳が湛える意思に鴆は一瞬怯んだ。

「リクオ?」
「襲名したら俺は三代目として組を仕切る。今までみてえにここには来られなくなるだろ。今だけなんだ…今しかねえんだ」

三代目となり、正式に組を継いだら、リクオはあらゆるものに縛られざるを得なくなる。
鴆への想いも、当然ながら心の奥底へと秘めなければならないのだ。
────それは鴆としても同じことだった。
百鬼夜行の主は唯一の存在であり、誰のものにもなり得ない。
鴆自身はリクオのものであっても、リクオは鴆のものには永久にならない。

「お前の望み通り、三代目を継いでやる。今だけだ…今だけ、お前のものになってやる」

それは引き金だった。
押し退けたはずの体を遮二無二掻き抱いて、強く強く引き寄せる。
「…動けなくなっても、文句言わねえか?」
「だから、お前は医者だろ」
「自信がねえんだよ!」

強く抱き寄せられて、リクオは苦しそうに小さく呻いた。
憎まれ口を叩きながら笑う仕草が愛しくも少々小憎らしい。
ついその調子に乗せられて声を荒げてしまって、鴆は乱暴に頭を掻いた。
その手にゆっくりと手を重ねられて、鴆は見上げた先に華を見たのだ。

「…いいから抱けよ。もしそうなったとしても夜までには動けるようになってやるさ」

妖艶に微笑む、夜に咲く華を。








※中記


しまった、終わらない…orz
それもこれもここ数日の体調不良と、実は4本同時進行で設定を考え付いて、それを何とか2本に減らして書いたプロットがなかなか上がらず、極めつけはフラゲしてしまった『ぬらまきょ』のBDに誘惑されたせいで。
いやだって、明日入手のはずが今日手に入ったら、やっぱり観てしまうものでしょう?
この魅力的な状況に逆らえる方はいらっしゃいますか?
…まあ、いらっしゃるかもしれませんが、私には出来なかったわけです。
さて、とりあえずここまで書いたところで、若誕小説ながら続きます(しかもこんなところで)
出来るだけ早くあげられるよう鋭意努力したいと思います。
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