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2011.09.24(Sat):鴆若
鴆若。
若の誕生日前日より。
妖怪の成人年齢ということで、初夜の話。R18
閲覧は自己責任でお願いします。

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激情に任せて強引に誘ってみたものの、その実、どうしたらいいのか分からなくなってリクオは逡巡した。
何せ、年齢の割に恋愛方面にあまり関心がなかった上に、ただひとり、その対象となったのが眼前で圧し掛かる己を見上げる鴆なのだ。

触れてくる指先も、与えられる体温も、重ねられる肌も。
────知っているのは彼だけで。
急に胸に迫るものを感じて、目頭が熱くなるのを感じた。

「…リクオ?」

訝しげな声と同時に、鴆が静かに頬に触れる。
涙こそ流れなかったものの、相手の見開かれた瞳でどれだけ悲壮な表情をしていたかを自覚した。
一度目を伏せると、その手を取って指先に軽く唇を落とす。

「…来いよ、鴆」
「無理…してるだろ」

無理なんか、しているに決まっている。
心は千々に乱れ、この上なく焦燥に駆られていた。
頭の中で警鐘が絶え間なく鳴り響く。

その思いを無理に捻じ伏せ、リクオは小さく首を振った。
無理しているだろうが、と、鴆が小さく舌を打つ。
「前も言っただろ。お前はお前のままでいりゃいい。…お前自身が無理に変わることはねえんだ」
そうは言われても、実感も自信も湧かない。
どこか空虚で、心許ないのだ。

「…だったら、そう思わせろよ」
これは命令だろうか。それとも────。
「思わせてみろよ」
言葉こそ強気ではあれ、声は失速し、小さく消えた。

(不安で仕方ないんだ)

そうだ、認めてしまえばいい。
これは懇願だ。
触れて温もりに包まれて安堵を得たいなんて、年端もいかない子供のようだ。

分かってはいてもリクオには出来なかった。
矜持と、どうしてもこの身に刻みたいという情欲。
取り巻く感情に幼いリクオの心は苛まれていた。

もっと幼ければ、怖いと言って泣けばよかったかもしれない。
もっと齢を重ねていれば、他に手段を選べばよかったかもしれない。

『想い』は表現の仕方を失い、出口を求めて暴れている。
吐き出したかった。
晒して、撒き散らして、心のままに。


ぎり、と言葉に乗せてしまいそうな唇を噛んで、リクオは鴆の首筋に縋り付いた。
相手は溜息をついたようだ。
ゆっくりと宥めるように回された腕が、残酷なほど優しかったのを覚えている。



晒された首筋に口づけをひとつ。
次に軽く吸うと、わずかに腕の中の体が震えた。
表情を隠すリクオの目を手のひらで覆って、唇を重ね合う。歯列を割って口腔へ入り込むと、相手の舌が逃げをうった。
リクオの体が強張ったのが分かる。
許さず絡め捕り、深めていくと、乱れる呼吸とともに次第にその強張りが解けていった。
袷を割り、胸元に手を這わせる。
それは微かな震えと早鐘を伝え、鴆はやや眉を顰めた。

苦痛を与えたいわけではない。
与えたいのはむしろ快感だ。

思い知らせてやりたい気分だった。
どれだけ想っているか、どれだけ想われているか。
愛して慈しんで、包み込んで、辛苦など遠ざけたいと思うほどに。


褥に横たえ、帯を解く。
わざと衣擦れを起こしながら、引き抜くと弾む吐息の中、リクオが息を呑んだが、すぐに顔を背けて視線を合わせようとしない。
その仕草が痛々しくもあり、妙に気に食わなかった。
袷を寛がせるうち、震える指先が鴆の袖の端を掴む。殊更それを無視し、薄い胸に舌を這わせると露わに慄いた。袖を掴む指先に力が加わり、皺を深く刻む。

鴆はまず愛撫に専念し、ひとつひとつ反応を確かめた。
想い人を前にしたからと言って、すぐに暴走するほど鴆は青くない。それなりの齢は重ねていた。
しかし、この幾何かの余裕も箍が外れてしまえば脆い。
理性が飛んでしまう前に、可能な限り与えたかった。
触れられる悦び。熱と刺激。────それらから伝わる想いの限りを。


「鴆…」
伝わったのか否か、指先がリクオの屹立に絡み、緩く擦り上げる頃には、潤んだ双眸が鴆を見つめていた。
表れているのは不安と期待。入り混じった表情が愛おしい。
「いいから、感じてろ…」

緩急をつけた刺激に、リクオのそれは従順に形を変える。持ち主よりもいっそのこと素直だ。
先走りが滴り落ち、水音が淫らに耳を打つ。
煽られた朱は、白さの際立つ膚を染めた。散らされた徴が一層艶めかしい。
ぬめりを借りて微かに奥に触れると、哀れなほどに体が跳ねた。
素早く離し、もう一方でリクオ自身への愛撫を強める。釣られるように意識を移したのを確認して、鴆は文机の抽斗から小さな二枚貝の容器を取り出した。
開いた容器から指先に乗せたとろみの付いたそれを秘所に塗り付けると、リクオが驚いたように震える。

「ただの潤滑剤だ。冷たいが、ちっと我慢しろよ」
言いながら、鴆はゆっくりと入口をまずは解した。その上で少しずつ割り開くように挿し入れる。
「あ…っ」
予期していたとはいえ、感じたことのない感覚に抑えられていた声が漏れた。違和感に柳眉が寄せられている。
前からの刺激で紛らせながら奥に進み、その狭さに眩暈を覚えた。
じっくりと、時間をかけて解さなければ。
暴走すれば傷つけてしまう。
己を戒めるために、鴆はわずかに頭を振った。



視界が霞んでいる。もう頭も朦朧として考えさえ覚束ない。
息苦しい呼吸に紛れる喘ぎは抑えきれなくなった。

「あっ…」
迎えられそうな予感を掠められて、思わず不満げな声が漏れる。
やや性急に指が引き抜かれ、続けざまに比較にならない熱い塊を押し付けられて息を詰まらせた。
「…っ」
その引き裂かれるような衝撃に、悲鳴の形に開かれたまま声にならず息だけが漏れる。
圧迫感に涙が眦から落ち、汗が一斉に噴き出した。
「息、しろよ」
耳元で囁く声にようやく呼吸まで忘れていたことを思い出した。
宥めるように頭を撫でられ、息つくことを促される。荒い息が耳を打ち、鴆も苦しそうだ。


(────ああ、でも)

己の奥に穿たれた熱を感じて、覚えず感嘆を漏らした。
長らく得ることが叶わなかった充溢。
初めて受け入れることに苦痛を伴うことは否めないが、それでも。


肩口で吐息を漏らす彼の首に腕を回し、自覚なく言葉が飛び出した。
「もっと来いよ…俺の、傍に…」


あとは、追い上げられる熱と満ちる吐息と掻き抱く腕の力と。
最奥への放埓に充足の溜息を落とした。



簡単な後始末ののち、襦袢を正しているとリクオが微かに呻いた。
ぼんやりと虚ろに見上げたまま、焦点が合っていないようだ。
「リクオ?」
声をかけるとようやく意識が戻ったように勢いよく起き上がろうとし、また呻いて敷布へと突っ伏す羽目になった。
どうやら意識のない間に後処理をされたことが酷く居心地悪く、盛大に機嫌を損ねたようだ。
素知らぬ振りをして鴆は、背を向けるリクオの髪を指に絡めた。
叩かれて止められるかと思いきや、存外、弄ぶその仕草をリクオは許している。
先程までの剣呑な気配は感じられず、鴆は心の中で胸を撫で下ろした。


「今日は秋分だったな」
「…何の話だ?」
不意に声をかけると、まだ不機嫌な表情のままリクオが振り返る。
「昼と夜が同じ長さになるんだろ?…今のお前に丁度いい…。そのままだと思ってよ」

言葉の真意を図りかね、怪訝な表情を露わにするリクオに、鴆は微笑って続けた。
「京都でも思ったが、昼と夜の均衡が随分ととれてきてるじゃねえか」
「均衡…?」
「四国の狸が来た頃、昼のお前は考え過ぎる傾向にあったが、今は夜のお前にもその傾向が出てきてる。…まあ、過ぎることはいただけねえが」

ますます分からない様子のリクオが、憮然としながらゆっくりと半身を起こした。
その背を支える鴆の手には素直に預け、そのまま鴆の体へと静かに凭れる。

「悩むのが悪いとは言わねえよ。だが、もう少し周りを見ろ。頼ることは弱さじゃねえ。…二代目がいい例えだろ」

己の人間である部分を認め、仲間を信じ、力を借りることの出来た────奴良組最大の勢力を誇った半妖の主。

「同じになる必要はねえ。ただお前は目覚めて日が浅いだろ」
わずかに切れ長の双眸が見開かれる。
鴆はそのまま言葉を続けた。
「経験が乏しいのはお前のせいじゃねえ。だからそこは周りに補ってもらえ。俺だってお前よりゃ長く生きてんだからよ」
「…弱い妖怪だけどな」
「…言うじゃねえか」
返された言葉に鴆は笑った。
ようやく取り戻したようだ。
「じゃあ、頼ってやるよ。まずは風呂まで連れていけ、義兄弟?」
流して寄越した双眸には、いつもの光が満ちている。
そうしてまた宣うのだ。

「俺の傍にいるんだろ?…なあ、鴆?」








※後記


終わった…が、病んでて申し訳ない…orz
駄目だ、書き手が病んでるとキャラまで病んでくる…。
ちなみに、恋愛関連は疎いことが公式のようなので、うちの若もやっぱり疎いです。
若(特に夜)には出来れば誘い受でいていただきたい。そして、経験のなさから途中で怯むといい。
そこから成長していくがいいよ。

最後に、遅ればせながら若様ハピバ!

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